先ほどまでご来店中だったお客様からの情報で、結婚情報誌等の記事で、どうやら「鍛造品の結婚指輪が良い!」というのが流行だそうです。私は「・・・?」絶句しました。確かに巷の宝石店では、「鋳造品」がメインです。
少し説明しますと、鍛造品は金の合金地金やプラチナの合金地金を文字通り叩いて鍛えていく手法です。叩いてなましてを繰り返すことによって地金が締まって硬くなったり強度が増したりします。鋳造は型に地金を流し込んで指輪にします。溶かした金属を型に入れて固めただけなので、強度はかなり差があります。表面を磨いて仕上げたらほとんどの方には差がわかりません。
ただ、飾り職人にとっては始めの一歩の手法で、基本中の基本です。本物の飾り職人でこれが出来ない人はいません。
地金を溶かして、金槌で叩いて、火でなまして、角棒にしたり、板にしたりします。その後ローラーで徐々に細くしたり薄くしたりして制作に必要な部品を作って組み立てていきます。この先から腕とセンスが必要になって、巧い職人とそうでない人に分かれます。角棒をうまく直方体に叩くことも簡単じゃないから、結婚指輪用に平角線や甲丸線に出来るだけでも今どき珍しいのかもしれません。
もすけ社長が結婚指輪を作る場合は、鍛造で作るのは40年前から当たり前のことで、当時の職人なら通常の指輪制作作業です。地金を用意して結婚指輪なら当然2本分の長い平角線にして、その1本からサイズに合わせて2本にし、デザインに合わせ仕上げます。もちろん指輪をつける方の幸せと健康を想い氣を入れて制作しています。(サイズと地金にもよりますが、1本¥77,000-からできます。)
今は、量産メーカーが3ⅮCADや3Ⅾプリンターでワックスを作って鋳造して、そのまま製品にしたり原型にしたりして量産ラインに乗せますので、差別化(特別感?)のために鍛造というのをキャッチコピーにしたのでしょうか?
確かに刀鍛冶が身を清めて、白装束で刀を打つ姿を、鍛造の指輪を作る職人と重ねれば別格の注文品に思えますね。
そういえば車のホイールの有名ブランドBBSの鍛造ホイールは、鋳造したホイールを型に入れて高圧プレスして製品にしています。ある意味量産品です。バブル期うちの車で履いていた。
同様にして指輪を作って、表面処理をハンマーで叩いても鍛造特注品なのかもしれない・・・。
鍛造で作った指輪